英語・フランス語・ポルトガル語な日々………そしてドイツ語が加わる

時に必要にせまられ、時に興味からいくつか言語を勉強しています。

フランス語・何だか分かりづらい部分冠詞 (article partitif)、"du" et "de la"


僕が部分冠詞なるものを習った時には、いまいち掴みどころのない分かったような分からなかったような感じがした記憶があります。

 

フランス語の部分冠詞が分かりづらい原因には恐らく、英語に存在しないから、というのがあると思います。不定冠詞、定冠詞の基本的な概念は英語もフランス語も同じだから、英語の冠詞の使い方をちゃんと理解している人だったらフランス語での冠詞の使い方で迷うことはそんなにないのではないかと思うけれど、その英語にもない部分冠詞なるものが出てくると「?」となると思います。ちなみにドイツ語にもポルトガル語にも部分冠詞という概念はないです。

加えて、du, de la が部分冠詞という文法的役割だけしか担っていなければ比較的話は簡単だったのかもしれないけれど、du は de + le の短縮形, de la は de + 定冠詞 la の時もあるからその辺も紛らわしいですよね。

                     

               アルファベット

部分冠詞としての du, de la

部分冠詞 du , de la は、全体のうちの不特定の(漠然とした)量(多い少ないを問わず)の不可算名詞(簡単な説明はこの後に)を指して使います。

 

Je mange du poisson.

ここではこの魚を食べる、あの魚を食べるということではなく、ただ食材としての魚(多い少ないに関係なく)を食べる、ということを述べています。

Hier soir, je suis allé dans un bistrot et j'ai mangé du poisson.

(昨日の夜、僕は居酒屋に行って魚を食べた)

 

ここで魚がどういう魚なのか条件が付けばもちろん定冠詞になります。

Le poisson que j'ai mangé hier soir dans ce bistrot était minable.

(昨日の夜、僕がその居酒屋で食べた魚はひどかった)

 

魚の属性、性質を表す形容詞が付けば不定冠詞にもなります。

Hier soir, je suis allé dans un bistrot et jai mangé un poisson très rare.

 (昨日の夜、僕は居酒屋へ行ってとても珍しい魚を食べた)

 

Je mange de la viande.

    J'ai mangé la viande que tu as achetée hier.

Je bois du vin. Je bois de la bière.

    Je mets le vin (= la bouteille de vin) dans le frigo.

J'ai de la chance.

    J'ai une chance inimaginable!

Il y a du monde dans le parc.

    Il y avait un monde fou hier soir.

Le train prend de la vitesse.

    Le train avance à une vitesse de cent kilomètres à l'heure.

C'est du courage qui me manque.

    Elle a le courage de dire la vérité devant eux.

 

否定文での細則

これら部分冠詞は否定形になると全て de になります。

Je ne mange pas de poisson.

Je ne mange pas de viande.

Je ne bois pas de vin. Je ne bois pas de bière.

Je n'ai pas de chance.

Il n'y a pas de monde dans le parc.

Le train ne prend pas de vitesse.

Ce n'est pas de courage qui me manque.

 

しかし、2つの意味の反する文を並べる時は、部分冠詞が残ります。

Je ne mange pas du poisson, mais de la viande.

Je ne bois pas du vin, mais de la bière.

Je ne fais pas du ski, mais du luge.

 

動詞を伴った文を挿入する時はどちらもありえます。

Il veut manger de la choucroutte

➡ Il ne veut pas manger de la choucroutte = Il ne veut pas manger de choucroutte

 

 比較として、

Il veut de la choucroute. → Il ne veut pas de choucroute.

 

可算名詞と不可算名詞

この2つの違いはかなり微妙できわどくて厄介です。というのも、多くの名詞が明確にこの名詞は可算、この名詞は不可算と別れているわけではなくどういう意味で使うかによって同じ名詞が時に可算、時に不可算になるからです。そして当然のことながら不可算名詞は複数形にはなりません。

僕の感覚では量的なもの、そして概念的なものは不可算名詞扱いになります。

例を挙げます。

魚は食べ物、肉や野菜、果物と同じように食材の1つとしてとらえる時は不可算名詞、

Je prépare du poisson.

でも釣りや魚屋で買うときは普通に可算名詞、

J'ai pêché dix poissons.

そして、私が釣った魚、と限定されれば、

Elle a preparé les poissons que j'ai pêchés.

 

比較として定冠詞は総称・全般を表します。

J'aime le poisson.

 

これは食べ物としての魚が好き、という意味です。

これを複数形にして(つまり可算名詞扱いにして)、

J'aime les poissons.

というと生き物としての魚が好き、という意味になります。

 

フランスでは兎を食べる習慣があるのでもし、

J'aime le lapin.

というと兎の肉が好き、という意味になります。

生き物としての兎が好き、と言いたい時は、

J'aime les lapins.

です。

 

犬が好き、猫が好き、と言いたい時は、

J'aime les chiens. J'aime les chats.

と言いましょう。間違って、

J'aime le chien. J'aime le chat.

と言ってしまうと…

                  驚く猫

 

「勇気」という言葉は抽象概念を表す不可算名詞。

du courage

C'est du courage qui me manque.(私には勇気が欠けている)

 

何か特定の目的のための勇気なら、

le courage

Elle a le courage de dire la vérité devant eux.(彼女は彼らを前にして本当のことを言う勇気がある)

 

この単語が複数形になることはない(と思います)。

 

de + le の短縮形 du

私はあした日本から帰ってくる、と言う時は

je rentre du Japon demain.

この du Japon の du は

de + le Japon = du Japon(日本から)

の du、前置詞de + 定冠詞 le の短縮形 であり、部分冠詞ではありません。したがってこれを否定形にしても、

Je ne rentre pas du Japon demain.

と du は du のままです。 

 

それから、du と短縮形になるのは 前置詞 de + 定冠詞 le の場合です。

前置詞 de + 代名詞 le の場合は短縮形にはならないので注意しましょう。

例えば、ヴェルサイユ宮殿(le château de Versailles)の話をしていて、次にフランスへ行ったら必ずこの宮殿を訪れるように、と相手に言いたい時は

N'oubliez pas de le visiter quand vous allez en France pour la prochaine fois.

le = le château de Versailles

となります。

 

たかが du, de la だけでも奥が深いですね。

 

                お辞儀をする犬