フランス語・現在進行形、過去進行形
現在(過去)進行形というと、まずは英語の進行形、
「be + 動詞の-ing」
が頭に浮かぶけれども、同じようなものがフランス語にあるのか?
実は、英語の進行形に相当するようなフランス語の表現はありません。
もう少し厳密にいうと、英語の進行形と同じような感覚で使えるフランス語の進行形はありません。
そう言うと、フランス語には 「être en train de ~」という表現があるじゃないか、と言われることは分かっています。この表現は確かに英語の進行形に相当するフランス語の表現だけれど、フランス語の方は英語に比べ、正にそれをしている最中だ、ということに重点が置かれた、英語の進行形よりも幅の狭い表現です。
普通は、現在形、あるいは半過去形が使われます。
料理をしている最中に、友達から電話がかかってきました。電話に出ると向こうから、
「今、何してるの?」、「料理してるとこ」(或いは「料理してたとこ」)
これを英語にすると、
What are you doing? I'm cooking.(或いは「I was cooking.」)
と、質問する方も答える方もごく自然に進行形を使う場面だけれど、これを自然なフランス語にすると、
Qu'est-ce que tu fais? Je fais la cuisine. (或いは「 Je faisais la cuisine.」)
と現在形か半過去形が使われます。
これを、
Qu'est-ce que tu es en train de faire? Je suis en train de faire la cuisine.(或いは「j'étais en train de faire la cuisine.」)
と表現することはもちろん可能です。文法上は全く間違えのない完璧なフランス語です。が、ニュアンスが異なります。フランス語の「être en train de ~」は、単に~している、だけではなく、~をしている最中だ、とその行動をしているんだということに重点が置かれた表現になります。
少し大げさに上の文のニュアンスを訳すと、「私があなたに電話している今の今、あなたは何をしている最中なの?」「あなたが私に電話をしてきた今、私は正に料理をしている最中でした。」
ってな感じです。
例えば、あなたはある小説を読んでいます。ある日、職場あるいは友達と会った時に、たまたまその小説のことが話題に上りました。その時、「あ、今その小説をちょうど読んでいるところなんだよ」と言う時、正しく「être en train de ~」の出番です。
Je suis en train de lire ce roman.
この場面では逆に Je lis ce roman. とは言わないですね。
かなり限定的な例になってしまうけれども、推理小説で探偵がある人物に質問します。
Au moment où il a été assassiné, où étiez-vous et qu'étiez-vous en train de faire?
「彼が殺された時、あなたはどこで何をしていましたか?」
ここでも où étiez-vous et que faisiez-vous? とも言えるけれども、「être en train de ~」という表現を使うことによって、彼が殺された正にその瞬間に、あなたは何をしていたのですか、と追及することができます。
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