フランス語・これらの単語は正しいのだろうか?

言葉とは時代と共に常に変化するもの、だから新しい単語が出てくるのは自然の道理だし、同じ単語でありながら意味が以前と変わっている単語があるのも当然。

それ自体はいいのだけれど、じゃあだからと言って何でもあり、という訳ではないと思うし、明らかに使い方が間違っていると思われるもの、またはちゃんと元の言語にそれ相応の単語なり表現があるにも関わらず安易に他の言語からもって来たりする(殊に英語から)事には注意が必要だと思う。

とまぁ、母国語ではない言語にとやかく言うのは野暮なのかもしれないけれどやはり気になってしまうのです。

 

今回はここに、実際に僕が耳にした、フランス語で良く使われるようになった幾つかの単語、でもその使い方にまだ???が付くものをいくつか挙げてみたいと思う。

impacter

英語のto impactから来た動詞。僕の持っている仏和辞典に載っておらず、2014年度版のLe Grand Larousseにはくだけた表現(expression famillière)として載っている。アカデミー・フランセーズはこの動詞を正しいフランス語として認めていない。

l'impactが衝撃、影響という意味だからその動詞は impacter となりそうなものだけれどこれまでフランス語に impacter という動詞は存在しておらず、「衝撃を与える、影響する」(英語のto impact)とフランス語で言いたい時は、

avoir un impact sur~, influencer, entrer en collision, produire des consequences sur~, produire des effets sur~, avoir une incidence sur~, avoir des répercussions sur~, influer sur~, agir sur~, se répercuter sur~, jouer un rôle dans~, affecter, nuire à ~, etc... 

と、本来フランス語に存在しなかったimpacterという動詞をわざわざ作らなくても、これだけ色々な表現が可能なのである。そしてそれぞれの表現にそれなりのニュアンスがあります。

 Ce nouveau contrat impctera les profits de l'entreprise.

 Ce nouveau contrat aura une incidence sur les profits de l'entreprise

Candidater

この動詞は先に挙げた仏和辞書にも2014年度版Le Grand Larousseにも載っていない。

Candidat(e) 候補者という単語から来て「立候補する」と言いたいのだろうけれど残念、この単語は(まだ)存在しない。

「立候補する」と言いたい時は、

poser ma (ta,sa,notre,votre..) candidature、

postuler

などと言う。

 

débuter

この動詞は本来、自動詞である、というところが鍵である。

似たような意味を表す動詞に commencer があるがこちらは自動詞としても他動詞としても使われる。つまり、

~が始まる (quelque chose débute) 、が本来正しい使い方であり、

~を始める(on débute quelque chose)、は間違った使い方であることに留意したい。

 

似たような間違いに動詞 démarrer がある。

この動詞も本来、自動詞である。よって、

La voiture démarre. とは言うが、

On démarre la voiture. とは言わない。車を始動させる、エンジンをかけると言いたい時は、

On fait démarrer la voiture. と言うのがより正しい形である。

 

émerveillant(e)

先日、フランス語のニュースを見ていた時、その中のあるインタビューで若い女性の学生が発した言葉。一緒に聞いていたフランス人がすぐに反応した。

Émerveillant?! Ça existe??

案の定、こんな単語は存在しません。動詞émerveiller(驚嘆させる、感動させる)から作って「驚くような」とか「驚嘆するような」、という意味で使ったのだろうけど、仲間同士なともかく、全国ネットで放送されるような番組であまり勝手な造語は使わない方が無難でしょうね。使っている本人は正しいと思っている可能性はあるけれど…

 

majestiosité

う~~ん、存在しない単語だからこれで綴りがあっているのかどうかも分からない。

単に「majesté」では短すぎてダメらしい。

 

confusant

 つい先日もテレビでこの単語が使われていた。辞書には存在しない単語なんだけど、試しにAcadémie française のサイトを調べてみたらちゃんと間違った使い方ということでconfusant が載っていた。曰く、

英語の confused はそもそもフランス語の confus (confondre の過去分詞)から入ってきた単語で、英語はそこから to confuse という動詞ができ、これはフランス語の confondre に対応する。

英語では to confuse から confusing という形容詞ができたけれどこの形をまねてフランス語で confusant とはならない。なぜならフランス語には confuser という動詞がないから。

だそうです。

ということで、フランス語では例えば、

troublant, perturbant, déconcertant, trompant などの表現が適当なようです。

Son attitude est confusante.

Son attitude est troublante.

 

 

これから気づいた単語を随時、足していこうと思います。