"ser"と"estar"の違い
ポルトガル語には存在・状態を表す動詞(英語のbe、フランス語のêtre)に、"ser"と"estar"があります。
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例えば英語では、 フランス語では、
I am Japanese. (私は日本人です。) Je suis Japonais.
I am in Japan (私は日本にいます。) Je suis au Japon.
と、どちらの文でも英語ならbe、フランス語ならêtreと同じ動詞が使われます。
しかし、これをポルトガル語で書くと、
Sou japonês. (私は日本人です。)
Estou no Japão. (私は日本にいます。)
と一方では"ser"が、もう一方では"estar"が使われます。
この違いはどこから来るのか?
文法に乗っ取って説明すると、
"ser"は、そのものの本質に関わること、又は常識的に考えてすぐには変わらないもの、に対して使われ、
"estar"は、そのものの一時的な状態を表す
となります。
つまり上の例なら、
日本人である、という事実は一生変わらないこと(国籍を変えるということは起こり得ることだけれども、それは行政上のこと、また日常茶飯事なことではない)なので"ser"。
対して、「日本にいる」というのは、今の時点では日本にいるけれど、明日にも外国にいるかもしれない。
今いる場所から動かない、または動けないわけではないので"estar"。
となるのです。
この2つの動詞の違いを使って、ポルトガル語では次のような表現が可能になります。
É branco. (彼は白人だ)
Está branco. (*ショックなどで、彼は青ざめている、蒼白になっている)
É cego. (彼は目が見えない。*生まれつき)
Está cego. (強い光などを受けて、目が一時的に見えない。感情的になって分別がつかなくなっている。)
É jovem. (彼は若い。*実際に若い)
Está jovem. (彼は若く見える。気が若い。*若いという年齢は超えている)
É nervoso. (彼は神経質だ。*性格)
Está nervoso. (彼はいらいらしている。)
こうやって比べていくと段々と"ser"と"estar"のニュアンスの違いが分かって来るのではないでしょうか。
初めのうちは、この2つの動詞を完璧に使い分けるのは容易ではありません。
という僕もまだ完ぺきにはほど遠い状態です。
足がかりとして文法から入り、最終的に感覚で理解出来たらもうしめたものです。
ここからは、上記のような"ser"と"estar"の使われ方の違いとは別に、日常的に必ず « ser »が 使われる場面をいくつか挙げようと思います。
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- 日付・季節
Hoje é dia 21 de Março.(今日は3月21日です。)
É primavera. (春です。)
Amanhã é terça-feira. (明日は火曜日です。)
- 時間
*Que horas são? É meio dia. (何時ですか? お昼(正午)です。)
É uma hora e un quarto. (1時15分です。)
São sete (horas) e meia. (7時30分です。)
*英語で時間を聞くときはWhat time is it? と単数ですがポルトガル語では複数形が使われます。
- 性別・職業・国籍・宗教・身体的特徴など
Os meus pais são professores na Universidade. (私の両親は大学の教授です。)
- 提示
Quem é? É a Maria. (誰? マリアです。)
É o cão do meu filho. (息子の犬です。)
Maputo é a capital de Monçambique. (マプートはモザンビークの首都です。)
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そして ”ser” は受動態にも使われます。それはまた改めて後日。