ポルトガル語・男性名詞と女性名詞
ヨーロッパの言語には大抵ついてまわる男性名詞(Substantivo masculino)、女性名詞(Substantivo feminino)という概念。ドイツ語なんか中性名詞まで。
どうしてこういう概念ができたのか、それと同じものを持たない日本語を母国語とする自分としては理解不能なのだけど、あるものはしょうがない。
生物学的に性別のあるものは、その性にしたがって男性・女性が決まるけれど、それ以外の多くの単語は全く関係なし。覚えるしかありません。
しかも、同じラテン語から来た言葉でありながら、フランス語やスペイン語で同じ意味を表す単語の性が必ずしも一致しません。
例えば、「海」は、
ポルトガル語 o mar 男性名詞
フランス語 la mer 女性名詞
「車」は、
ポルトガル語 o carro 男性名詞
フランス語 la voiture 女性名詞
こんな具合です。
この時、一語一語を全てこれは男性名詞、これは女性名詞、という風に覚えていくことは、ほとんど不可能に近いので、定冠詞と一緒に覚える、単語単体としてでなく文としてまとめて覚えるなどの工夫をすることが大事です。
男性名詞に付く定冠詞は"o"、女性名詞に付く定冠詞は"a"
です。ちなみに男性名詞の定冠詞"o"にアクセントが来ることは無いので、常に「ウ」と発音されます。
o cão (ウ カオン)「犬」/ a cadela(ア カデラ)「雌犬」
o homen (ウ オメン)「男、人」 / a mulher(ア ムリェール) 「女性」
と、このように性別があるものはいいのですが、
o café (コーヒー)、a capital (首都)、o creme (クリーム)、o filme (映画)、o nome (名前)、a metade (半分)、o país (国)、o pessoal (人員、スタッフ)、o sol (太陽)、o açúcar (砂糖)、a voz (声)…
男性名詞か女性名詞かを判断する手がかりは全くありません。
どうして首都が女性なんだ、クリームが男性なんだ、などと不毛なことは考えず無条件で覚えるだけです。
ちなみに乳房を表す"seio"は男性名詞です。ね、女性名詞にしちゃいそうでしょ?
それでも幾つか傾向はあります。
- ~o、又は~orで終わる単語の大多数は男性名詞です。
o livro(本)、o banco(銀行)、o erro(間違い)、o fumo(煙)、o vidro(ガラス)…
o cobertor(毛布)、o calor(暑さ)、o humor(ユーモア)、o suor(汗)…
- ~a、又は~agemで終わる単語の大多数は女性名詞です。
a arta(芸術)、a asma(喘息)、a fruta(果物)、a orquestra(オーケストラ)…
a garagem(ガレージ) 、a paisagem(風景)、a vantagem(利益、メリット)…
しかし、 文法の常、例外はあります。
- -orで終わるが女性名詞の例
a cor(色)、a dor(痛み)、a flor(花)
- -aで終わるが男性名詞の例
o clima(気候)、o dia(日)、o fantasma(幽霊)、o mapa(地図)、o planeta(惑星)…
- ~agemに関しては唯一personagem(著名人、配役、登場人物)という単語が男性か女性かで、
o personagem/a personagem になる、ということくらいか。他にももしかしたらあるかな?
少なくとも-oで終わる単語は全て男性名詞と思って良いようですね。
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ポルトガル人は基本的に男性名詞・女性名詞をちゃんと使い分けます。
母国語ポルトガル語の人が、あまりにこの名詞の性を間違えると、ちゃんとした教育を受けてない人、と見做される可能性大です。
その点、ポルトガル語を外国語として習う身では、間違えても全然OK。
どんどん話して間違えて直してもらうのが、実は一番の早道かもしれません。
でもブラジル人は良く文法を間違える、とは当のブラジル人の言。